俺には、大学時代から付き合っている仲間がいる。
友達というか、悪友だ。
その中の一人、康太からLINEが入った。
『恭一、久しぶり タカシに聞いたぞ 彼女に会わせろよ』
タカシの奴、皆には言うなと忠告しておいたのに…。
そのあとすぐタカシからの着信。
「ごめん、でももう1年だぜ? 流石に俺だってもう嘘つけね~よ、
そんなに会わせられないって、お前もしかして人妻か…?」
「バ~カ、ちげ~よ、分かった…康太に言っとけよ、行くって。」
「了解~、またな。」
「クソッ!」
電話を切ると、俺はスマホをベッドの上に放り投げた。
仕方ない…、とりあえず顔だけ見せてすぐ帰って来よう…。
「今週の土曜日なら、仕事も休みだし大丈夫!」
彼女の嬉しそうな表情を見て、俺は余計に気が重くなった。
「リナ、無理しなくていいんだよ…、都内だけど少し遠いし…、」
「行くわよ、恭ちゃんのお友達がせっかく誘って下さってるのに
断るなんて失礼でしょ?」
「全然失礼じゃないよ、それにただの知り合いだからね。」
「それでも、いいの! 行きましょう。」
リナはそう言って、にっこりと微笑んだ。
頼むから奴らの前で、その笑顔だけは見せないでくれよな…。
俺は祈るような気持ちで、楽し気に微笑む彼女を見つめた。