時空の旅に出る⑫

長編
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久し振りに会った彼は、目がくらむほどの好青年になっていた。

「美香ちゃん、綺麗になったね。」
トオル君は私の髪を梳かしながらさらりと言った。

「学校は髪型とか厳しいの?」

「全然、成績以外の事は、なんにも言われないわ。」

「OK、じゃあ、うんと可愛くしてあげるね。」


私はPCで作ったオリジナルカードをトオル君に渡した。
「電話かメール、どっちでもいいから頂戴。」

「ふ~ん、どうしようかなぁ…。」

彼はそう言って、鏡越しにチラリと私を見た。
その時の流し目が凄くセクシーで、私は咄嗟に目を逸らした。


「分かった、美香ちゃんだけ特別だよ。」
そう言って得意げな顔でふざけてみせた。


そして1週間位経った頃、トオル君からメールが来た。

それから毎晩、他愛もないメールのやりとりが始まった。

時々、トオル君が車で学校まで迎えに来てくれて、
そのままデートに出かけたりすることもあった。

10月に入っても、暑い日にはよく海に行った。
砂浜で水着のままゴロゴロしたり、水を掛け合ったりして遊んだ。

上半身裸で寝転ぶ彼の、焼けて引き締まった身体が眩しかった。


「トオル君の家に行きたいわ。」
彼は暫く考えていたが、「かまわないよ。」と言ってくれた。

トオル君は、わりとお洒落なアパートに一人で住んでいた。

キッチンとリビング、その奥にベッドがあるだけの部屋が見えた。

「座ってて、何か淹れるよ。」

大きなソファーに腰をおろし、部屋を見回した。

「部屋、綺麗にしてるのね。」

「まぁ、職業柄ね…」


アイスティーとアイスコーヒーの入ったグラスを持って、私の隣に座った。
「ハイ、美香ちゃんはアイスティーだよね。」

「ありがとう」と言って、私はトオル君に抱きついた。

自分の身体からドクンドクンと音が聞こえた。
心臓が痛くて、はじけ飛ぶような気がした。


沈黙の後、「美香ちゃん、飲もう…」と彼が優しい声で言った。

「いやよ、どうして何もしてくれないの、手も触ってくれない…。」

「美香ちゃん…?」

「私はずっと前からトオル君が好きなの、知ってるくせに…。」

「僕も好きだよ。」静かな声だった。

「それなら…キスして…。」

「今日は、やめておこう…、美香ちゃん…」

「いや! 今してくれなかったら私、恥ずかしくて死んじゃう。」


自分が抑えられなくなって、頭がおかしくなりそうだった。
もう、嘘でも遊びでもよかった…。


「わかったよ…。」

私の唇に、トオル君のひんやりとして柔らかい唇が優しく触れた。

その瞬間、私は彼を押し倒し、自分のTシャツをまくり上げた。


呆気に取られて仰向けに倒れたままの彼をよそに、
自分の服をすべて脱ぎ捨てた。


起き上がった彼は、目の前で裸になった私をただ茫然と見つめた。

それから私を優しく抱き上げてベッドの方を見た。

「美香ちゃんには、参ったな…。」

トオル君は私をベッドの上に降ろしてから、ゆっくり服を脱ぎ始めた。