久し振りに会った彼は、目がくらむほどの好青年になっていた。
「美香ちゃん、綺麗になったね。」
トオル君は私の髪を梳かしながらさらりと言った。
「学校は髪型とか厳しいの?」
「全然、成績以外の事は、なんにも言われないわ。」
「OK、じゃあ、うんと可愛くしてあげるね。」
私はPCで作ったオリジナルカードをトオル君に渡した。
「電話かメール、どっちでもいいから頂戴。」
「ふ~ん、どうしようかなぁ…。」
彼はそう言って、鏡越しにチラリと私を見た。
その時の流し目が凄くセクシーで、私は咄嗟に目を逸らした。
「分かった、美香ちゃんだけ特別だよ。」
そう言って得意げな顔でふざけてみせた。
そして1週間位経った頃、トオル君からメールが来た。
それから毎晩、他愛もないメールのやりとりが始まった。
時々、トオル君が車で学校まで迎えに来てくれて、
そのままデートに出かけたりすることもあった。
10月に入っても、暑い日にはよく海に行った。
砂浜で水着のままゴロゴロしたり、水を掛け合ったりして遊んだ。
上半身裸で寝転ぶ彼の、焼けて引き締まった身体が眩しかった。
「トオル君の家に行きたいわ。」
彼は暫く考えていたが、「かまわないよ。」と言ってくれた。
トオル君は、わりとお洒落なアパートに一人で住んでいた。
キッチンとリビング、その奥にベッドがあるだけの部屋が見えた。
「座ってて、何か淹れるよ。」
大きなソファーに腰をおろし、部屋を見回した。
「部屋、綺麗にしてるのね。」
「まぁ、職業柄ね…」
アイスティーとアイスコーヒーの入ったグラスを持って、私の隣に座った。
「ハイ、美香ちゃんはアイスティーだよね。」
「ありがとう」と言って、私はトオル君に抱きついた。
自分の身体からドクンドクンと音が聞こえた。
心臓が痛くて、はじけ飛ぶような気がした。
沈黙の後、「美香ちゃん、飲もう…」と彼が優しい声で言った。
「いやよ、どうして何もしてくれないの、手も触ってくれない…。」
「美香ちゃん…?」
「私はずっと前からトオル君が好きなの、知ってるくせに…。」
「僕も好きだよ。」静かな声だった。
「それなら…キスして…。」
「今日は、やめておこう…、美香ちゃん…」
「いや! 今してくれなかったら私、恥ずかしくて死んじゃう。」
自分が抑えられなくなって、頭がおかしくなりそうだった。
もう、嘘でも遊びでもよかった…。
「わかったよ…。」
私の唇に、トオル君のひんやりとして柔らかい唇が優しく触れた。
その瞬間、私は彼を押し倒し、自分のTシャツをまくり上げた。
呆気に取られて仰向けに倒れたままの彼をよそに、
自分の服をすべて脱ぎ捨てた。
起き上がった彼は、目の前で裸になった私をただ茫然と見つめた。
それから私を優しく抱き上げてベッドの方を見た。
「美香ちゃんには、参ったな…。」
トオル君は私をベッドの上に降ろしてから、ゆっくり服を脱ぎ始めた。